たらちねの

「今日よりも明日は良い日になるでしょう」一日一度母はいうなり

( しょう ) ( よう ) として死に就くとはかくのごと日ごと日ごとに笑みを絶やさず

オルガンを弾きて歌いし憶えあり「うさぎ追いしかの山」と母は

「嫌なことは三歩歩けば忘れる」と言われて百歩歩けども無駄!

口ぐせは「起きて半畳寝て一畳」 寝ても半畳 折れたる母は

九十余年愚直に生きし母の手は いざりながらも埃を拾へり

行く所また行く所楽しみを見つける人ぞこれ君子なり

鶯を鳴かせたこともあるわいな花のハルビン社交界では

無意識に母は宇宙と戯れし宇宙知らずに宇宙そのもの

幼き日母の作りし柏餅あの味はなしコンビニ製には

帰りなんいざ故郷の母のもと決めたる朝の光眩しき 

お月見も桜紅葉もあと幾度従いまする天の配剤

( いき ) ( ) ( たま ) 勿忘草 ( わすれなぐさ ) を友として

好物は歯茎に染みる掻き氷

秋茜二つに折れし母の背に

たらちねの母の日入浴介助せり

生きて来たように死にゆく母を看る

山河風狂

たらちねの

人は三度生まれ、三度死ぬ

魔界、そして非情な世界

私だけの秋の七草

「欠点が魅力なんですよ」

初級中国語の考察

宇宙と人間の法則

なぞとき地名人名考

音楽はサムシンググレート〜

ゾウさんとアリさん

inserted by FC2 system