2《クトロキ》(アイヌ語地名か?)
茨城県報1159号(全28頁中の11頁)によると「クトロキ」は鉾田市菅野谷の 小字 です。正しくは小字の中の小地名というのでしょうか。アイヌ語かと思い「地名アイヌ語小事典」で調べてみると、Kの欄には「コテトク」(沢のどんづまり)しか出ていません。同じ4音節ですが、無関係のようです。北海道に「 宇登呂 」という地名があることを思い出し、調べてみると「ウトロチクシ」で岩の間の通路という意味だそうです。菅野谷の地形は良く知っていますが、これもあてはまりません。
「うとろ」をしつこく調べてみると、古い言葉で 空 に同じと出てきました。そして「うとろき」は 空木 のことだそうです。確かに空木の芯は空洞になっていますね。これで「クトロキ」は「うとろき」が変化したものと考えると、どうにか成り立ちがつかめました。
姓氏学的には青木、榎木、などの姓は地名から出たもので元々、耕作地の境目に植えた木の種類なのだそうです。私は当地の近くで生まれましたが、畑の 地 境 には必ず、と言って良いほど「うつぎの木」が植えてありました。子供の頃、実を篠鉄砲の弾に使ってよく遊んだものです。宇津木さんも近所におりました。
小地名を表す 字 は「 交 う」から出た表現で人名にも 字 として使われます。物の 怪 にとりつかれるので口にしなかった 諱 (本名)に対して今の愛称のように 慈 しんで使ったのが 字 だったのです。
昔の人は手塩にかけて1枚1枚の田や畑を開墾しました。たとえそれがどんなに小さなものであっても、我が子のように愛情を込めて 字 を付けたことでしょう。近くにある、一枚上がり、三枚ヲサ、四ツオサ( 収 める=利益をあげること)などの小地名を見てつくづく、そう思います。
しかしながら、この県報の告示は地名変更の為のものなので、これらの先人の血と汗の結晶は間もなく消滅してしまうでしょう。
追記 ソニーの副社長でプレイステーション2を開発した方は 久多 良木 健さんです。
クトロキや卯の花 腐 し 今日 も 安正