またまた音程について
訂正記事省略
さて、会話は音でできています。音は音色・強弱(リズム)・音程の三つの要素で成り立っています。音色はすなわち発音です。発音についてはどの民族の会話もよく研究されています。リズムについても最近の英会話などではリズムマシーンやドラムスを使って訓練しているようです。しかし、音程について積極的に取り組んでいる講座にはお目にかかったことがありません。どうしてでしょうか?それは音程には個人差と地域差が多くあるためかと思われます。しかしながら、このことを逆手に取れば、いわゆる「らしさ」を出すには音程をなぞるのが一番手っ取り早いはずです。
「
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
阪弁になってしまうし、「
 ̄  ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たんにアメリカ弁になってしまうではありませんか。音色変化(発音)を取ってしまって、ハミングでもなんとなく分かるような気がしませんか?アルプスやヒマラヤに住む少数民族の口笛(指笛)言語やアフリカのトーキングドラムはこの理屈で成り立っています。これほど表現力があって、しかも、美しい部分であるところの音程変化を疎かにすることは誠に勿体ないことではありませんか。
さてさて、中国語の音程変化について最も研究なされたのは倉石武四郎先生ではないかと思われます。音響測定器のオシログラフの奇跡を、そのままピンインに当てはめたテキストを見たことがあります。でも、正直言ってあれはちょっと分かりづらいです。一つ一つのパターンが全部違うからです。もう少し整理をして、少なくとも曲線は使わず直線の組み合わせにしたら、もっと分かりやすくなると思います。南方方言で使っている数字による声調変化の表現もたいへん分かりにくいです。あれも、いっそのこと直線の連続変化にしてしまったらいかがでしょうか。
ところで、中国人の方が使う日本語の辞典では音程変化を6種類に整理して数字で表示しています。これを我々、日本語のネイティブが使ってみると、邪魔になるというか、たいへん、煩わしいものです。普段は全く意識していないせいでしょう。しかし、彼らにとっては正に「闇夜の灯台」の如きものではないでしょうか。中国人の日本語抑揚がすばらしいのはこの灯台が担っているに違いありません。反対に我々日本人は、相当、外国語の理解力のある方でも、音程変化なしの棒読み状態になってしまうことが多いのは、この「灯台」が建設されていないからです。ちなみに、NHK編の「発音アクセント辞典」では
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キラ・ホシノゴトク きら星のごとく
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ウスキミ、ウスッキミ 薄気味(〜悪い)
などと表現しています。どんな方法でも良いですから、あらゆる外国語に、この「音程の灯台」を建設することよって、私たちは棒読み状態から開放されるのではないでしょうか。
今回もまた、言いたい放題のことを言わせていただきましたが、いかがでしょうか。反論のある方、もっと良い方法を考えついた方は是非、ご意見をお寄せください。
(川口市日中友好協会中国語教室機関紙「にいはお」19号より)