7《金精峠・保土ケ谷》 (シンボル地名)
下野 (栃木県)は本来、「下つ毛」の意味なのです。(11項参照)ちょうど、その「下の毛」の中に男体山、金精山、金精峠があり、日本列島を男性人体として見立てたとき、 巧 い具合に急所の様子を呈しています。勿論、これは偶然の一致でしょう。男体山は 女峰山 、太郎山、 大 真名子 山 、 小真名子 山 などの日光連山の一つで家族構成に例えた山名になっていますから。
また、金精峠は神社の御神体のことや、 弓 削 道 鏡 の伝説(道鏡は晩年、下野の薬師寺に追放されていた)が残されていることから考えてみると、古代信仰の豊穣多産のアイコン(偶像・象徴)である金精様がニョッキリと立っていた場所なのでしょうか(元のアイコンは金精山か)。それは珍しいことではなかったようで、今でも東北地方に行けば田んぼの 縁 や温泉(孫六温泉)の湯口などで拝むことができます。
保土ケ谷区は神奈川県横浜市の区名です。もとは 大字 小字 などの小地名で、やはり女性アイコンの自然物があったか、谷そのものがその形をしていたかのどちらかでしょう。ホトを辞書で引くと「 陰 」と出てきますが、本来は火所、火処、火床などの意味なのです。古代の人々に取って人間の証しであった炎は何千年もの間「火きり 臼 」と「火きり 杵 」という木製品をこすり合わせて発生させました。その動作から交接運動を連想し、「火きり臼」がだんだん彫れてくる形や、火の色を「陰」に見立てたのは当然のことでしょう。
そしてまた、生活上、最も重要な水源に対して同様の見立てをしたとしても何の不思議もありません。例えば、十和田湖畔にある女滝や埼玉県の黒山三滝の女滝も見方によってはそう見えますし、茅ヶ岳(にせ八ヶ岳・日本100名山の著者、深田久弥の終焉の地)の女岩(中央から水が垂れ落ちている)などはあまりにも似ているので大笑いをしてしまいます。その後は厳粛な気持ちになるのですが。
というわけで、保土ケ谷以外にも同じような地名を上げてみましょう。まず、埼玉県秩父郡長瀞町の 宝登 山 です。ケーブルカーで登れるので 長瀞 観光と組み合わせると家族連れで楽しむことができます。
その他にも青森県上北郡東北町保戸沢、青森県十和田市切田程野、秋田県湯沢市石塚保戸沢、福島県相馬市程田、福島県麻耶郡山都町相川程野、新潟県柏崎市深沢(武石峠)近くの程平(旧)、長野県下伊那郡上村程野(遠山郷)、岐阜県山県郡保戸島村(旧)、愛媛県上浮穴郡美川村有枝程野、高知県吾川郡吾北村清水程野〔程野の滝(複数)があり、西滝はそっくりです〕、大分県津久見市保戸島などがあるのです。これらの地は窪みや穴型の地形であるか、滝、沢、岩、島の形が陰に似ているか、 田 野 の 傍 らにアイコンが置かれていたかのいずれかでしょう。
なお、前項最後の「 陰伽 ス」は私の造語です。
日光もけっこう毛だらけほどほどに 安正